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そんなものは存在しない(その3)
マーシャルのワークショップでのお話です。
幼稚園の先生が授業に参加したくない子供とどう話したらいいかについてロールプレイをしていました。
その中で、マーシャルは何かが「役に立つ」または「役に立たない」というような考え方を強化することからなるべく離れようとしていると言いました。
何かが時間の無駄であるという考えは存在しないというのです。
この話は十年以上前から気になっていて、ことあるごとに思い出しては理解しようと努めていました。
マーシャルがNVCを作るときに参考にしたものの一つに一般意味論というものがあります。
その分野の重要な考え方に「地図が現実ではない」というものがあり、それは私たちが使っている言葉はその言葉が表そうとしている物そのものではないことを意味しています。
例えば、床に麻をより合わせた紐状の物体があるとします。
人はそれを見て、「縄」と呼ぶかもしれません。
また、慌てている人は急にそれに気づいて「へび!」と驚くかもしれません。
物体自体は麻をより合わせた紐状のものです。
そして、それに「縄」という言葉をつけたり「へび」という言葉をつけているわけです。
その「縄」や「へび」という言葉自体は、評価している人の方にあります。
確かに、より多くの人がその物体が「縄」であるということに同意するでしょう。
しかし、「縄」という言葉はその麻をより合わせた紐状のものそのものではないことに変わりはありません。
実際に存在するのは床に転がっている麻をより合わせた紐状のものであり、「縄」という言葉も「へび」という言葉も人が考えている言葉であり、存在しないのです。
さて、子供が漫画を読んでいるとします。
漫画を読むという行為を「役に立つ」という言葉で呼ぶこともできれば、「役に立たない」という言葉で呼ぶこともできます。
先ほどと同じように、「役立つ」や「役立たない」という言葉は漫画を読む行為そのものではありません。
その言葉は評価している人の頭の中で生み出されたものです。
そのいずれの言葉も実際には存在せず、頭の中で空想しているだけなのです。
もし自分がその子供だったら、「役に立たない」と大人に言われ続けることをやらなくなってしまうかもしれません。
実際、人生で他者に「役に立たない」と言われて辞めてしまったことが少なからずあり、失われた機会や可能性についての残念さを持っています。
自分も含む全ての人に、自分のいのちの源泉からくる自分を突き動かすものを大切にし続ける道を探し続けてほしいと願っているので、存在しないものに惑わされずに生きてほしいな、と願っています。
このお話は自分の人生の中で何か心当たりがありますか?
これを読んでどんな感じがしますか?
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地図は現実ではないことを理解するまでは、言葉の危険性に気づきません。言葉は決してそれが説明するものそのものではありません。
Experiencing our Needs as a Gift(ニーズを贈り物として受け取る) 0:14より
私は、それをニーズの言葉に置き換えることにしています。私は、何かが「役に立つ」とか「役に立たない」とかいう考えを強化することから離れようとします。何かが時間の無駄だというような考え。そんなものは存在しないんです。なぜ人に神話を教えるのでしょう?ある行動はニーズを満たします。そうでないものもある。なぜ人生をより複雑にしてしまうのでしょう?
Making LIfe Wonderful DVD 3/4. 1:30:14 より
2023/6/3 No.335から